湯浅政明 監督作品『夜明け告げるルーのうた』見てきました。
  







○湯浅政明氏を初めて知っての感想


実は 湯浅政明 という監督さんの存在は「夜は短し歩けよ乙女」の公開で初めて知りました。。 

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先月「夜は短し」を見たのですが、前もって予習のために「四畳半神話大系」も鑑賞しました。 




四畳半神話大系 第1巻 [DVD]
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浅沼晋太郎
東宝
2010-08-20



原作の内容を大きく膨らませ、様々に拡がる主人公の想念が男汁あふるる四畳半に集約される作劇、作画的ダイナミックさ。
素晴らしい。

これは他の作品も見てみようと、  




カイバ Vol.1 [DVD]
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桑島法子
VAP,INC(VAP)(D)
2008-06-25


「カイバ」を見て、童話的な画風とハードなSFの融合の面白さ、               



マインド・ゲーム [DVD]
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今田耕司
レントラックジャパン
2004-12-22



そして、「マインド・ゲーム」のサイケデリックな映像美、人間の内面を模すような怒涛のストーリー展開。それらが混然一体となってマインドのゲームとして形作られてゆく世界。 

どれも型にはまらない独創的で意欲的な作品群を生み出す湯浅政明という監督に魅了されてしまった次第でございます。 





これは「ルーのうた」も見に行かなければ、と思い行ってきました。 
東宝系の映画館でしか上映してなかったのでTOHOシネマズへ。 





○『夜明け告げるルーのうた』を見ての感想



夜明け告げるルーのうた感想





ミュージカルだったりパロディ(?)だったり、色々な要素が組み合されつつも。。。 

己の心、コミュニティ、色んな鉄鎖を断ち切って、少年の自我の確立の物語。


人の意識の大きな壁を突破、そして現れる夜明けと勇気のカタルシス! 
  
と、思いました。 



御陰岩




歌が大好き、人が大好き。歌を聴くと人の姿に変身する人魚ルーと、両親の離婚という家庭の不和が心に影を落とす少年カイとの物語。

 
ルーとカイ




明るく、情熱的な色合いの作画。回想シーンで出てくるフォービズムのようなマットな感触。

じっちゃんのお母さん



踊る人々(見て楽しい!)。

踊る 



舞う傘(このシーンは感動的かつめっちゃ綺麗!)。 

傘




ルーの歌を聴くとみんな自然に踊りだしちゃう。
こういう設定も、ルーは人にとって欠くべからざる大切なものを表しているようにも思いました。

だから、ルーが歌を聴くと尾ビレが脚に変化して人間の姿になっちゃう。というのもなんだか示唆的な気がします。

パラソルー




そんなルーとのふれあいの中で、殻に閉じこもりがちだったカイは徐々に大切な事に気づく。 



クライマックスでのカイの絶唱は、そんなカイの勇気を振り絞って過去の自分と決別しようとするひたむきさが感じられて、本当に感動的でした。 

カイ


この作品は登場人物みんなの勇気と、それの触媒としての映像的な美に感じ入る映画だ!と、思いました。 









。。。というのが、おおまかな感想なのですが、ちょいよく分からなかった点も。。

↓以下、ネタバレあります。 








○『夜明け告げるルーのうた』を見て気になったところ




注意力散漫な私にはシナリオがちょっと説明不足にも見え、作品の意図が完全には飲み込めなかった所もありました。



カイは殻に閉じこもりがちなキャラとして描かれている訳ですがそれは父親・照夫の夢の挫折と離婚という、親子の関係とか、生活環境の破綻のため。



寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。
もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって父と母の故郷である日無町に居を移したのだ。
父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向きのカイ。
唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。 

公式ホームページより あらすじ抜粋




家庭の不和がカイの心に影を落とし、生きる事に臆病になっているのは分かる。 

しかし、カイの抱えるモヤモヤ、鬱屈した気持ちの本体とは何だろう。。。 
ちょっと私には分かりづらかった。 


                      
カイの両親に対する想いはさりげなくチラッと出てくるだけなので(序盤、未開封の大量の母親からの封書が出る場面&父親の照夫がえびな水産の漁業長に嗤われるシーン)、そこを記憶上スルーしていた私には、カイの苦しみ、本当にやりたい事はなんとなく分かるけどでもはっきりとは分からず、ちょっとモヤっとした感じ。


その為、カイとルーの関係もちょい分かりづらかった。





ルーの存在というのは、言い方を変えると『ルーはみんなのココロの中に居ます』とか、『このへんな生きものは まだ日無町にいるのです。たぶん』とも言えるような。 

人魚は日向に出ると日光に焼かれて消えてしまう。という設定にも表れているのではないかと。

燃えルーパパ



カイにとってはルーは切っても切れない大切な存在。しかしずーっと一緒には居られない。

というか"夜明け"が来れば消えてしまう存在。


私はカイの生きづらさとか、それの克服というものに注目していたので、そのルーを通してどんどん心の壁を乗り越えようとして行くカイ、その過程に私は非常に感動したのですが。。 



しかし、ラストでカイがルーに『好きだ!』と告白して、ルーも赤くなってデレデレになってしまうという展開は、どうにもこうにもカイの成長というテーマから離れているように見えて、私には良く分からなくなってしまったのであります。  

好きだ!



『崖の上のポニョ』は宗介と人魚のポニョとの「愛」が物語のキーワードでしたが、5歳の宗介と比較してカイはこれから社会へと視界が広がろうとする思春期まっさかり中学3年生だから。。。 
愛を叫ぶ対象は母親だったり父親だったり、むしろヒロインの遊歩だったり、現実の世界に向かっての方が分かりやすいのではないかと思いました。 


そのため、カイの目的とは何なのか、どうしたいのかが私にはいささか見えにくくなってしまった訳です。 






この私のモヤモヤを解消したい。より深くルーの世界を知りたいと思い、ノベライズ版も買って読んでみる事にしました。 




小説 夜明け告げるルーのうた
小説 夜明け告げるルーのうた [単行本]
三萩 せんや
KADOKAWA
2017-05-10





これは読んで良かった。 
文体は取っつきやすいですし、「ルーのうた」の世界が良く分かりました。


映画を見て良く分からなかった所がある、という方は小説版をお読みになる事をおススメ致します。

今年上半期一番のアニメ作品の全体像が良く把握出来ると思います。



続きは後編