ネタバレあります。



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映画『夜明け告げるルーのうた』 を見ました。 
己の心、コミュニティ、色んな鎖を断ち切って、少年の成長の物語。
感動的な物語だと思いました。 




しかし、完全にはストーリーを追いきれなかった私。 
注意力散漫な私にはシナリオがちょっと説明不足にも見え、作品の意図が完全には飲み込めなかった所もありました。 





私には夜明けは来ぬのか! 
この私のモヤモヤを解消したい。より深くルーの世界を知りたいと思い、ノベライズ版も買って読んでみる事にしました。 




小説 夜明け告げるルーのうた
小説 夜明け告げるルーのうた [単行本]
三萩 せんや
KADOKAWA
2017-05-10




文章は平易で読み易かったです。
頁は250ほど。 読むのが速い方はスグ読めちゃうのではないでしょうか。 

キャラクターの心理描写も多く、『ルーのうた』の世界観が良く分かります。  

まさに私がこのノベライズ版に求めていた要素。読んで良かった! 





○カイの求めるもの


冒頭で『ああ、そうか!』と思わされました。 



 "✕✕だ"
 伏せたその二文字を口にするのが、どれほど難しいことか。
 その二文字を、その二文字に乗せた想いを、誰かにぶつけて、素直に打ち明けて……それで受け止めてもらえなかったら。心からの想いを否定されてしまったら。
 それが、カイには堪らなく怖い。 

本文冒頭より 



自分の正しいと思う気持ちを堂々と主張する。
その象徴として、『スキだ』という感情が中心的なテーマとなっているのだなぁ。と感じました。



ポスターにも『君の "好き" は僕を変える』なんて書いてありますし、公式ホームページ内の湯浅監督のインタビューでも『同調圧力への違和感』という事が言及されていたのを見てはおりました。



『愛』とか『恋愛』をクローズアップするのではなく、皆から迫害の対象となった人魚のルーに「好きだ」とハッキリ自分の気持ちを伝えられる事、それをルーが受け入れてくれる事がカイにとって大事な成長のステップになっていたのであろうと思いました。


このあたりの主張が非常に強いテーマに設定されているんですね。。。ふむふむ。 



つまり、、、どんどん人の心が内向きになる世相。 
"悪い忖度"蔓延る世の中、その生きづらさがカイを苦しめる本体だとも言えるのであろうと感じました。 





○カイと両親との関係


そのカイが臆病になり、心を閉ざす大きな要因が両親の離婚。 

おじいちゃんは漁師の町で漁を行わず日傘の職人となり、父の照夫も漁業を職業にしながら漁に出ない"陸漁師"として周りから揶揄されている。 

親子


両親とカイの関係も、私には非常に興味のある点だったのですが、小説版にはそのあたりの描写も丁寧に書かれています。 



 ライブを守るために、豪蔵は保険でプロを用意した。ライブを成功させるためには、それは正しい行為だろう。けれど……代わりに、あの二人は傷ついた。
 ふと、照夫は、息子に対する自分の行為も同じなのではないかと思った。 



この後、カイへの接し方への照夫の自責の思いが綴られます。 
進む道が分かれてしまった妻への思いも含めて、子を守るために父もまた常にこれでいいのかと悩んでいる。 

照夫


こういった描写のおかげで、映画版にあったこの後に現れる照夫からカイに自分の想いを語るシーンはより感動的です。 





○そうだったのか!『ルーのうた』


この場面はそうだったのか!と初めて分かる描写も小説版は多かったです。 


ルーとカイが一緒にブランコを漕ぐシーン。 
ここではじめてルーが『すきっすきっすきっ』と連呼シーンが出てくる。 

ブランコ


ここも伏線だったのですね。。 
小説版を読んで初めて分かりました。 


もう一つ。ここでキスしているカップルが出てきますがこの二人、伊佐木さんと、学校で進路指導の話をしていたふぐ田の二人のようです。 
ふたり付き合ってたんですね。 

伊佐木さん




他にも、カイが使うウクレレはおじいちゃんが使っていたもの。 
『歌うたいのバラッド』は父の照夫がアマチュアバンド時代にコピーして歌っていたもの。

カイがその『歌うたいのバラッド』を歌う意味、日傘に込められた意味など、「ああ、そうか。。。」という感慨の連続。


非常に多くの伏線が絡み合ってラストへと繋がっているのが良く分かりました。


傘






○すべて読んでみて


すべて読んでみて、『夜明け告げるルーのうた』の世界観がよく分かりました。 

自分を見てばかりいたカイは、夜明けが訪れた日無町において本当の自分の姿を見出す。 

やっぱりルーは青春の幻影。 




カイ、遊歩、クニオの三人は、ラストには全く何事もなかったように日常に戻っていく。 
そして三人とも別の道を歩み始める。 




最後に、重なった三人の手は、傘が開くようにして、それぞれ別の方向へと離れていった。 

本文ラスト部分より 


rasuto


やっぱりそれでいいんだろうなぁ。。と思いました。 


眼には見えずとも、ビビットで楽しいアニメーション・音楽の表現を媒介として奏でられるルーのうた。

そのうたの素晴らしさを、ハッキリ好きだと知る為に、大いにこの『小説 夜明け告げるルーのうた』は役に立ちました。



そして、せめて私もルーが好きだとこのブログでささやかに叫ぶものであります。





『ルー! 愛してるぞー!!!』






終わり

映画・ノベライズ版『夜明け告げるルーのうた』見て、読んでの感想(前編) にもどる!