『熊の獣害ばかり興味を持ち、三毛別羆事件 関連本 色々読む ①』記事より、本の感想部分だけ抜粋しました。
三毛別羆事件
三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)とは、1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別(現:苫前町三渓)六線沢で発生した、クマの獣害(じゅうがい)としては記録的な被害を出した事件。六線沢熊害事件(ろくせんさわゆうがいじけん)、苫前羆事件(とままえひぐまじけん)、苫前三毛別事件(とままえさんけべつじけん)とも呼ばれる。
エゾヒグマが数度にわたり民家を襲い、開拓民7名が死亡、3名が重傷を負った。事件を受けて討伐隊が組織され、問題の熊が射殺されたことで事態は終息した。
Wikipediaより

『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』 (文春文庫)
2015/4/10 木村盛武(著) 文庫
身の毛もよだつ、獣害史上最悪と言われる被害を出した『三毛別羆事件』の真相を追ったノンフィクション。
林務官から作家へと転じた 木村盛武氏による作品。
本書によれば、この三毛別事件は大正時代の発生時から詳細な記録が残される事もなく、昭和30年代頃には事件の存在は『遠く巷間から忘れ去られようとした』状態だったのだとか。
本書によれば、この三毛別事件は大正時代の発生時から詳細な記録が残される事もなく、昭和30年代頃には事件の存在は『遠く巷間から忘れ去られようとした』状態だったのだとか。
林務官という職業柄この事件の真相を究明したいと考えていた木村氏は、偶然にも事件の起こった苫前町を管区に持つ古丹別営林署に赴任。ここから事件の生存者や遺族、羆の討伐に関わった関係者などに粘り強い聞き取り調査を開始。
それをまとめ、『獣害史上最大の惨劇苫前羆事件』というタイトルの調査記録として、旭川営林局誌『寒帯林』に掲載されたのが昭和39年。
この記録をきっかけに三毛別事件は『異彩を放つ数々の文芸作品に形を変え』、小説・テレビドラマ・演劇・ラジオドラマなど様々な媒体で広く世間に知れ渡るようになったそうです。
私が読んだ文春文庫版はこれに加筆修正して再版された特別編集版(第1部 慟哭の苫前三毛別事件)。
私が読んだ文春文庫版はこれに加筆修正して再版された特別編集版(第1部 慟哭の苫前三毛別事件)。
掲載されている情報は、事件の推移の概要、当時の新聞報道、死傷者の方々の傷害の状況など、果ては問題の羆を撃ち取った山本兵吉氏の写真や、犠牲者である阿部マユさんの遺骸が埋められていたトドマツの写真も!
さらに木村氏自身の林務官時代にヒグマと遭遇し九死に一生を得た体験談や、これまで起こった獣害事件を元に熊の生態についての解説なども併せて掲載されており(第2部 ヒグマとの遭遇)、三毛別事件・熊による獣害について知りたい、もしくはトレッキングとか、動物や自然が大好き、という方には大変有意義な内容ではないかと思います。
そう、これはあくまでも自然を愛する人が書いた、『ヒグマと人間とのよりよい形での共存を目指す一助に』なる為に書かれた本。
獣害事件のセンセーショナルな部分だけを期待して読んではならないかと。
(私の事でございますm(_ _)m)
第1部後半の加筆部分は話題が多岐に渡っている為、若干、すこーし内容的に散漫になっている印象も無きにしもあらずなのですが、しかし、事件の記録としての意義は非常に高いと思います。
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