翔んで 埼玉 1-10







見ました、『翔んで埼玉』。


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監督 武内英樹
脚本 徳永友一
原作 魔夜峰央
「このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉」

出演者
二階堂ふみ
GACKT
伊勢谷友介

STORY

その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。
通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていない者は見つかると強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。

東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、生徒会長として君臨していた。
しかし、アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。

麗は実は隠れ埼玉県人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。
その正体がばれて追われる身となった麗に、百美は地位も未来も投げ捨ててついていく。
公式サイトより



3月1日 平日の昼間に行ったのですが8割ぐらい席は埋まって結構混雑してました(ファーストデイという事もあったかも)。

内容は…原作では茨城県がバイプレーヤーとして結構露出度が高かったのですが、映画版では武内英樹監督の出身地である千葉県が埼玉県のライバルとして登場、埼玉VS千葉 がストーリーの軸となっております。
未完だった原作からはテーマ、ストーリーも世界観も大きく拡がり、私が想像していた以上の一大コメディ映画になっていると思いました。

ただ、難を言うなら後半のオリジナル展開になるにしたがって魔夜作品独自の耽美感はどんどん希釈されていった感もあるのですが…しかし、演じる俳優さん達、二階堂ふみさんもGACKTさんも京本政樹さんも、存在感は凄かった。
魔夜峰央ワールドを体現できる俳優さんがこの世に居たということにまずビックリ。

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しかしその中でも、GACKTという人はスゴい人ですね~…。ミュージシャンとかタレントというよりも『カリスマ』がお仕事という感じ。自分の存在感で人を魅了する、「GACKT」を演じる事だけにあらゆる努力を重ねている「一流芸能人」というふうに見えました。そうでもなければ映画の主演をスンナリこなしているというのが信じられない…。



さらにもうひとつの魅力である、マシンガンのごとく繰り広げられる関東圏disりギャグの数々。


常磐線がシベリア鉄道のような車両で何もない荒野を走ってるとか(↓原作では蒸気機関車)、
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白泉社刊「翔んで埼玉」デジタル版 より 以下同



東京の食堂はメニューが別れていたり、

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群馬の空にはプテラノドンが飛んでいるとか(映画オリジナルのネタ)。
もう、上映中の観客席は笑い声に溢れておりました。



警察から逃れるために池袋に潜伏した麗が言った、『池袋は埼玉県民のユートピア』というセリフに客席からドーッと笑い。
麗の実家がある、『所沢へ来るか?』と問われ『えっ』となる百美にまたまたドカーンと場内爆笑。

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埼玉県ゲートウェイは池袋。
そして「所沢」という名称の持つ微妙な空気感。
このあたりの感覚は、実は私も西武線沿線在住なので良く分かります。


都内の西武線近辺に住んでいる者なら、大体興味の対象は池袋、新宿、吉祥寺といったあたり。
「所沢」へ遊びに行こうなどと言う人間がいれば変人扱いされるのは必定という空気があります。(東村山や清瀬あたりはどうなのかわかりませんが)


私が見に行った映画館はウチの近所。見ている方々も大半が近隣の人達でしょうから私と同じ感想を持って爆笑されたのではないかと思います。
まさに地域の連帯感をもって祭りに参加しているような高揚感に包まれる。去年大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』のような、みんなと共感をもって盛り上がりを感じる映画という最近の流行りを踏襲しているように感じました

ただ、言い方を変えると関東在住の人でないとピンと来ないネタが多いとも言えるのですが。


しかし、この映画には人のココロの奥底に眠る差別や分断の意識をコメディという形で健全に呼び起こし、笑い飛ばすというきわどい普遍性があります。


人間には、誰にでも差別意識はあるし、ごくつまらないことでも人と比べたがるし、比べられてしまう。それを逆手にとって笑い飛ばそう、というのがこの作品なんです。だから遠慮なく笑ってもらいたいし、この冗談が否定される世界だったら、その方が怖いでしょう。

マイナビニュース 「『翔んで埼玉』ヒットの裏に、原作者・魔夜峰央が攻めた「逆手に取る」笑い」より、魔夜峰央先生のコメント



こういうのはコメディとしては相当高度なものだと思うのですが…、それは「埼玉愛」に根差しているからこそ成立するコメディという事なんでしょうか。

だから世代や地域を超えて、どんな人でも共感できる。ホワイトなブラックユーモア。
ブラックだけどみんな笑顔の高揚感。

最終的には差異や偏執を乗り越え、ワールドワイドに拡がる埼玉。みんなの心に拡がる埼玉。そういった共同体の物語にこの映画は行きつく訳で、なんだかよくわからんがとにかくスゴイ映画だ~…。





私、この映画は『グリーンブック』だの『といった作品と真っ向勝負する気は無い、良い意味で”志の低い”映画だと思っていました。自分で史上最大の茶番と言ってるぐらいですし。

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映画『翔んで埼玉』予告編 より


千葉解放戦線と埼玉解放戦線との合戦シーンでの、「こっちにはYOSHIKIがいる」「イヤ、こっちには高見沢がいる」「イヤイヤ、こっちには小島よしおが…」「こっちにははなわが…」というやりとりを見ていると、

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YouTube《茶番劇アワード》エントリーNo.2 出身地対決 ~YOSHIKIvs高見沢~編 より


『日本人にしかわからないネタもここまで来ると……。世界に打って出る気も全くないのね~』
という印象を強烈に持ってしまったり。
この敷居の低さが良さなのかな~と思ったりもしていたのですが…

しかし、間違っていました。
よくよく考えてみるとこの映画、あやうい要素のバランスの上にみんなが受け入れられるエンターテイメントが成り立っているキセキのような映画ではないかという気がしてきました。



海外でも受けるのではないか…。
今以上に人気が大化けするのではないかと感じさせる、未見の方は是非映画館で見ることをお勧めしたい映画です。




終わり