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『巨大さ それが 度肝を抜く』『人類に打つ手は無い』 悲劇  



98年、ハリウッド版ゴジラが公開されるというニュースに、ファンは狂喜。


「日本のサブカルチャーが生んだヒーロー、『ゴジラ』がハリウッドに進出した!」

「ゴジラの持つコンテンツ力、キャラクター性が世界に通用することが証明されたんだ!」


と、

それはもう私もファンの一人として大いに期待したものでした。

しかし、出て来たものは…



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おっきいおっきいトカゲ、んでもってたくさん!


この見た目に象徴される、ゴジラ本来のテーマ性とはかけ離れた描写の数々に、なんかちがう・コレジャナイ・どうしてこうなった、というファンの怨嗟の声が世界中に駆け巡ったのをよく覚えております。



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04年に公開された『ゴジラ FINAL WARS』では『GOD』を取った『Jilla』(ジラ)という正式名でゴジラの敵役としてエメリッヒ版ゴジラが登場したものの、



ゴジラ ファイナル ウォーズ <東宝Blu-ray名作セレクション>

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2019-05-22


ゴジラ 02-6
↑ 小学館刊 ゴジラ ファイナルウォーズ超全集より
アメリカに出現したという「非公式な情報」のみ存在




ゴジラの熱線放射に瞬殺。完全にザコキャラ扱い。

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X星人には「やっぱりマグロ食ってるようなヤツはダメだ」と鼻で笑われる始末。


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ゴジラ 04-22
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―― US版ゴジラが出ていましたね。
富山 アメリカはゴジラというキャラクターを人間が倒すべきものとしか描けなかった。それは日本のゴジラのオリジナリティがアメリカ映画では描き切れなかったということだと思うんです。ですから今回、あえてUS版ゴジラを登場させて、日本のゴジラとどっちがどのくらい強いのか、その力の差を見せたかったんです。

『GODZILLA FINAL WARS  SPECIAL EDITION  東宝SF特撮映画シリーズ』内、富山省吾氏インタビュー「永遠に向けて、最後のゴジラを。」より




ゴジラ 04-24




『ファイナルウォーズ』も、ゴジラシリーズの中では決してエラそうな事言えた立場ではないのではないかと思いますが…しかし、『GOD』ではない『Jilla』(ジラ)というネーミングが秀逸だったのは間違いなく…


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監督
ローランド・エメリッヒ
出演
マシュー・ブロデリック
ジャン・レノ




GODZILLA(1998) の感想



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パニック物の娯楽作品として観ると面白い。

ゴジラがニューヨークに現れるまでテンポよく話が進んで引き込まれる。
映画『ジュラシックパーク』の恐竜を思わせるようなゴジラのリアルな造形。
ジェットコースターに乗っているようなスピーディーで迫力の戦闘シーン。人間とゴジラの幼体とのアクションシーンもふんだんに盛り込まれている。
損得勘定だけのニューヨーク市長とか、フェデラルホールのワシントン像などの描写に見られる権威、権力への皮肉を込めたコメディ要素。
さらに、ジャン・レノ扮するフランスの諜報員が加わりストーリーの盛り上がりも十分。

例えば、これが恐竜映画巨編『ジュラシックパーク』の続編、もしくは対抗して作られたパニック映画だとしたら…。
巨大恐竜がニューヨークを蹂躙するという内容はかなりユニークで面白いと思うのですが。


が、しかし、これは『GODZILLA』。


ゴジラ映画として観ると、今述べた美点は全て悪徳と化してしまう恐ろしさがあります。



私が思うにゴジラの徳目とは…




すぐに出て来ない!

怪獣映画、特にゴジラ作品は、主役怪獣の登場まで時間を掛けるのがよくある演出。大体、未確認生物発見のミステリー的な出だしから徐々に徐々に情報を補足して、場合によっては小出しに登場させて、映画が始まってから40~50分ぐらいに本格的に登場。テンションMax、カタルシスMaxの破壊活動描写で一挙にラストの大団円へ。という、ミステリー的なワクワクから破壊という形で収拾に向かう、というカタルシスこそがゴジラ、怪獣映画の面白さではないでしょうか。
しかし、エメリッヒ版ゴジラは映画開始20~25分ぐらいにはもうゴジラがニューヨークに上陸しちゃう。娯楽映画としては非常にテンポが良くて観ていて楽しいのですが、怪獣映画としては…。


ゴジラは人類の脅威ではあっても『敵』ではない!

ゴジラが都市を破壊するのは、そこに街があるから。ゴジラの進む場所に人の集落があるから踏み潰さざるを得ない。人類が攻撃するから反撃するしかない。
例えば、人が蚊をうっとおしがって手で叩き落とそうとしても、本気で蚊に敵愾心をむき出しにする人はまず居ない。人間とゴジラは対等・対称な関係ではない。
エメリッヒ版映画でのゴジラは完全に人類の「敵」であって、クライマックスでは主人公に敵意を示し、さらには粘着質的に延々と主人公達を追い掛け回すという…、それは言い換えれば、人とゴジラは対等な関係のようであっても完全に没交渉で、ゴジラがむしろ蚊や蠅のように排除される存在としか描かれていないのはゴジラ本来の精神に悖(もと)るのではないか!とも思います。


ゴジラ死なない!

人類の脅威であり、理念に近いキャラクターなので死ぬことがない。
エメリッヒ版『GODZILLA』では人類の知恵と勇気と軍事力によってゴジラは実にあっさり葬られますが、日本版のゴジラはミサイル食らっても平気。人類によって死に至らしめられたのは初代ゴジラのみで、あとは雪に閉じ込められたり火山の溶岩流に引き落とされたりという凍結的な締め方か、何処へともなく去って行くというラストが殆ど。(例外は「ゴジラvsデストロイア」)
こういう傾向を考えればゴジラには「不死」というキャラクター性は必須、の筈です。



他にも、本来「ゴジラ」はかなり大真面目なポリティカル・フィクションであって、一歩引いたコメディめいた手法で政治を表現するには元々相性が悪い、とか、熱線放射のないゴジラとはどういう事か、などなど数え上げるとキリがないのですが…それはともかく、この日本のゴジラ特有の要素を一言でいうならやっぱり……。



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③『原子怪獣現わる』の感想につづく


引用している画像は DVD『ゴジラ ファイナルウォーズ』、DVD 『GODZILLA (1998)』より